mixi engineer blog

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WWDC の楽しみ方 - WWDC 2012 参加報告 -

こんにちわ、iPhone, iPad アプリを開発しております田村です。
最近のマイブームは新タマネギです。

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6/11- 6/15 にサンフランシスコで行われた WWDC 2012 に、同チームの k_kinukawa と初参戦してきました。

ここでは、英語が堪能ではない iOS app 開発者の私が、WWDC を 200 % で楽しむために大事だと感じたこと記しておきます。

1, WWDC 2012 に行く前に日本で人脈を作る

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今回の出張が充実したものになったのはこれがあったからだと言っても過言ではありません。初めて WWDC に参加する、そして初めてサンフランシスコに行く自分にとって、WWDC の歩き方やサンフランシスコの歩き方を事前に知っておくことができた、また現地でその方々と一緒に行動できたことが一番のベネフィットです。

幸運にも今回は東京で

「日本から WWDC 2012 に参加する人で集まって仲良くしようぜ!」

といった内容のイベントに参加する機会がありましたので、思い切って参加してきました。そこには 20 名ほどの WWDC 2012 参加予定者がおられました。そしてそれぞれの方の普段のお仕事について、開発されている Mac, iOS アプリについて、過去の WWDC の経験談について聞くことができました。そこに集まる方々は皆さん Apple が大好きで、同じ開発者ということもありすぐに意気投合することができました。同じコミュニティで知り合いを増やしたかった自分にとっては、これだけでも十分なくらい有意義でした。

しかしこのつながりが本当に効果を発揮するのは現地に行ってからです。周りが外国人ばかりで知っている人がほとんどいない状態で行くのと、気軽に声をかけられる知り合いがいるのとではえらい違いです(基本的に外国の方は知らない相手でも非常にフランクに話しかけにいきますが、これは文化や人格の違いの問題なので、あくまでも日本人目線で話を進めます)。既に知り合った方々と一緒に食事に行ったり、聞いたセッションの情報交換したり。またこれは後述しますが、知り合った人経由でパーティに誘われたり、またこちらから誘ったりして、そこからさらに多くの人と知り合うことも可能です。

そしてこのつながりは WWDC 2012 後もなくなるものではありません。WWDC 2012 で得た新しい知識の共有や、今後行われる勉強会、ひいては WWDC 2013 と、ここで出会った方々とお会いする機会は多くあるのです。このつながりは自分にとって本当に貴重なものだと思っております。

2, 現地で交流する

2.1, パーティに参加する
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WWDCは世界各国からエンジニアが集まるということで、これに便乗してサードパーティが主催するパーティがこの期間にたくさん開かれます。そのパーティに参加すれば、いろんな出会いがあります。その会社のグッズももらえますので一石二鳥です。

英語が堪能でない私にとって、海外のエンジニアとの交流はとても有意義なものでした。自分たちで作っているアプリを海外のエンジニアに説明したり、逆に説明してもらったり。また、こういった交流の中でメディアで取り上げられている有名な iPhone アプリの開発者に出会えることもあります。そういう方とも交流が持てるのもパーティの醍醐味では無いでしょうか。

このようなパーティに参加するにあたって、まず WWDC meetup などで検索してパーティ一覧を取得しましょう。特にそのサービスを使っていなくとも、登録、参加表明して問題はありません。ものによっては、招待状がないといけないものもあるので、その場合はそのサービスに登録して、招待状をもらいましょう(私は Parse drinkup に参加したのですが、これは Parse Framework を使ってないと招待状が届きませんでした)。そして現地に行って参加して交流しましょう。日本人の方もおられるので名刺をたくさん持っていくことをお勧めします。

2.2 現地の会社にお邪魔する
7393318670_374ba81ab2_b.jpg 幸運なことに、会場近くに本社を構えておられるとある会社を訪問する機会がありました。その会社で働いておられる方に社内を案内してもらい、社員食堂でランチをしながらいろいろなお話ができました。iOSの技術的なお話はもちろんのこと、その会社の開発体制のお話も聞くことが出来ました。iOS Appをどういった体制で開発されてるか、どのようなツールを社内で使われているかを教われました。さらに、海外企業の採用活動や海外で働くことについてためになるお話をたくさん聞くことができました。

3, Apple のエンジニアと話すための準備をする

7393224562_df1b5c746a_b.jpg 技術セッションとは別に、LAB というものがあります。こちらでは、Apple のエンジニアたちが、参加者が持っている技術的問題にたいして直接答えてくれる場となってます。実際に開発途中のコードを持っていって直接質問したり、instruments などの開発ツールの使い方をツールの開発者に伝授してもらったり、Apple のデザイナーにアプリのデザインを見てもらってアドバイスをもらったりと。


そんな中、我々は普段作っている mixi for iPhone のデザインを、apple の iPhone アプリのデザイナーに見てもらいました。我々はその場に行くときに、アプリのデザインを全体的に見てもらってフィードバックしてもらおうと考えて臨みました。その結果、アプリの説明で時間の大半を使ってしまうというもったいないことをしてしまいました。残りの半分くらいで現状我々が気になっているところのデザインについてフィードバックを頂けたので非常に有意義なものとなりましたが、もっと引き出せたのではないかと自分では考えています。

このような場では、ある程度出来上がっているものを見せるのは効果が薄いと感じました。例えばとある画面のデザインを一新する案件が動いていて、そのデザイン案がいくつかあって悩んでいるといったシチュエーションだとします。そのような状況だと、複数の新しいデザイン草案をAppleのデザイナーに見せることで、より多くのフィードバックが得られたのではないかと考えています。

4, セッション聞くなら WWDC の過去のビデオを一通り見る

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カンファレンス中は多くのセッションが平行して行われていきます。そこで自分が興味あるセッションを聞くのですが、同じ時間帯に複数みたいセッションがあるってことはざらにあります。これを決めるのがなかなか大変なのです。そして、タイトルと説明を見比べて泣く泣く見たいセッションを捨てて、一番見たいセッションを見に行くと、意外と知ってる技術の説明だけで終わって残念な気持ちになるケースもあります。

ここで学んだことはセッションは当たり外れがあることです。自分に取って目新しい技術が仕入れられない可能性もあります。ですので、前年度の WWDC のセッションビデオをすべて見てどんな内容かを把握しておくことが大事です。そうすれば、見るセッションを選ぶときのフィルタリングが多少楽になると思います。

既に開発者向けにはビデオとして公開されていますので、開発者登録されている方はどんどん見て新しい知識を得ましょう。

5, 英語の勉強がんばる

言うまでも無く、keynote や各セッションはすべて英語です。しかし英語が堪能ではない筆者でも、前方に映し出されるプレゼン資料と、実際のコードを使った説明、そして Demo もありますので、あちらが伝えたいことを汲み取ることができます。そんななか自分が一番悔しかったのは、そのプレゼン中にちょこちょこ挟まれている笑いポイントをあまりキャッチできなかったことです。周りの開発者がどっと笑うタイミングで自分も笑いたいという気持ちになりました。普段からの英語の勉強は大事だと再確認したのであります。

6, 現地のパワースポットを巡る

WWDC 会場の周辺には、その場に訪れるだけでモチベーションを挙げることができるスポットがたくさんあります。此処ぞとばかりにいろんな場所を巡ることをお勧めします。
Keynote 当日早朝の WWDC 会場
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WWDC 参加者は Keynote を生で見るために、日が昇る前から会場周辺に長蛇の列を作ります。そしてその開発者の行列に、サードパーティのサービスを立ち上げている会社の人たちがコーヒーや iPhone ケースを配りながら、うちのサービスを使ってねと宣伝していきます。あらゆる開発者が早朝からどん欲に活動していて感銘を受けます。

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普段使っているサービスが創られている場所

WWDC 会場から南下すると、有名 IT 企業の本社が建ち並んでいます。

Apple 本社の Infinite Loop
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Google 本社 droid 君
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Facebook 本社 Hacker Way
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世界中の人が使っている大規模サービスがこの地から発信されていると考えると、感慨深いです。

コンピューターの歴史を知る
7393405888_36cd22d8e6_b.jpg Google 本社の近くには、Computer History Museum があります。ここでは、計算機がどのように造られ、どのように使われてきたかを知ることができます。



プログラミング言語の歴史も細かく描かれています。
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偉大なる数学者の格言も頂くことができました。
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この博物館を一周しただけで、ギーク度が増した気がします。

現地でしかできないことをいかにやるか

7393336124_ba48b56e23_o.jpg 結論これに尽きると思います。WWDC で行われるセッションは開発者なら、ビデオで何回もみることができます。しかし、現地での出会いや経験はそこでしか得ることができません。パーティで出会った方の中には、WWDC には参加されずに周りで開かれているパーティに参加するためにサンフランシスコに来たという方もおられました。まさにそれこそが WWDC の本質だと考えます。


ここでは技術的なことはいっさい述べていませんが、セッションでは iOS 6 の新しい技術のほかにも、今日から使えるベストプラクティスもたくさん学べました。この学びを mixi for iPhone, iPad にどんどん注ぎ込んでいきますので、今後のアップデートにご期待ください!